タマティ・エリソン、日本を離れた時のことを語る。ホゼア・ギアの決断にも影響したか。

今日、日本行きを撤回すると発表したホゼア・ギア。当人にとっても重要な決断だったでしょうし、恐らく多くの人に色々な助言を受けたでしょう。

ホゼアが決断を公表する前日、タマティ・エリソンも彼の移籍に対して助言を与えていたひとりでした。今シーズンの開幕直前まで日本でプレーし、今は同じチームで戦う仲間からのアドバイスを、ホゼアはどのような思いで聞いたでしょうか。

エリソンは、日本へ行くことについて「慎重に考えた方がいい」と警告しています。

「彼がどういった計画を立てているのか、よくは知らないけれど。ともあれ、彼はまだ若い。彼のお兄さんも向こうにいるし、どこを拠点にして何をしていくのか、リコとよく話しているだろう。けれど、彼は自分にも、あちらでの様子を尋ねてきたよ。」

「ラグビーに対して強い情熱を持っているにも関わらずプレーすることが辛くなったとすれば、それは何か(熱意とは)別の理由によるものだろう。ある朝、自分はベッドから出るのが辛くなったんだ。ラグビーに行くのが辛くなったのは、はじめてのことだったよ。」

「彼らのラグビーを悪く言うつもりは無いんだ… ただ、あの時、自分は「今決断するしかない」と思ったんだよ。」

他のインタビューでは、私生活において家族だけで孤立していたと語っていたエリソン。特にNZでの緊密な地域社会に慣れていると、日本の都市生活では難しいことも多かったでしょう。

ニュージーランドへ戻り、ハイランダースでプレーオフ進出にも可能性を残して戦っているエリソン。久しぶりのオールブラックス入りも、手が届くところにきています。ゆったりとしたオタゴでの生活が「性に合っている」と話す彼にとって、日本を離れたことが良い決断だったことは間違いないようです。

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ホゼア・ギアの東芝入りは白紙に。NZに残り、オールブラックスへ挑戦。

「既に決定している」とも伝えられていたホゼア・ギアの東芝入りが白紙になったことが、この日ホゼア本人より明かされました。

ホゼアは、昨年より日本への移籍が噂され続け、今年に入ってから東芝と合意したという情報も流れていました。その影響もあってか、先日のオールブラックストレーニンググループからも漏れています。

しかし今日、ハイランダースでのトレーニング終了後にニュージーランドへ残ることを明言。おそらくは、来期もハイランダースでプレーすることになりそうです。

これが、先日の試合で故障したコーリー・ジェーンのバックアップに招集される可能性を高めるものなのかどうかは不明ですが、あくまで「オールブラックスで地位を掴みたい」というのが本人の意向だということです。

日本のファンは少し残念ですが、個人的にはやはり黒衣で走る姿を見たい。頑張って欲しいと思います。

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キャメロン・シェパード、英ノーサンプトン・セインツへ移籍。

ウエスタン・フォースのキャメロン・シェパードが、英プレミアシップのノーサンプトン・セインツとの契約に合意しました。

28歳の長身バックスは、元々イングランド生まれ。シドニーで育ち、ウエスタン・フォースの創設と同時にワラタスから移籍しました。2007年にはワラビーズの一員としてワールドカップにも出場しましたが、近年は代表での存在感もなくなり、自らのルーツである新天地への挑戦を決心したようです。

「とてもワクワクしているよ。ジム・マリンダーが優れたコーチだということは多くの人に聞いているし、セインツも最高のクラブだ。ジムの掲げるチームプレーは、自分の求めるプレースタイルに合っていると思うし、多くを学びたいと思う。」

と、シェパードは目を輝かせます。

「これは言うまでもなく新しい挑戦になる。プレミアは激しいリーグだし、エキサイティングなチームが数多くひしめきあっている。特にセインツはね。クラブには、たとえばベン・フォーデンやジョージ・ピシのような、国際的に名前の知られた素晴らしい選手たちが在籍している。彼らと一緒に、歴史あるクラブでプレーできるのが楽しみだよ。」

「ノーサンプトンは、フォース同様に熱心なファンに支えられたチームだ。自分のプレーを、早くセインツのサポーターに見てもらいたいね。」

セインツのジム・マリンダーも、シェパードの合流を楽しみにしています。

「キャメロンは、素晴らしい才能をもった選手だ。常に安定した力を発揮すると同時に、激しい闘争心を持っている。特に攻撃面で、良い影響を与えていると思うよ。しかし、ディフェンス面とボールキャッチには若干の難がある。また、彼の加入はゴールキッカーのオプションが拡がることにもつながる。バックスリーならどこでも出来る彼の加入は、チームの戦術に深みを与えてくれるだろう。」

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オールブラックスへ「再挑戦」の、ハイランダースコンビ。今度こその想いも強く。

日本でプレーしていたタマティ・エリソンと、NZで戦い続けたベン・スミス。今回共にオールブラックスのトレーニングキャンプに呼ばれた彼らには、ハイランダースのチームメイトであり、どちらもユーティリティ・バックスとして期待される以外にも、共通点があります。どちらも、2009年以来の招集となる「再挑戦」組だということです。

「今回は、それほど緊張していないよ。でも、やっぱり少し不安は感じるね。」

と語るエリソン。トレーニングキャンプの顔合わせで同室となったマア・ノヌーの30歳の誕生日を祝った後のことでした。彼らは、以前ハリケーンズでチームメイト。その後リコー・ブラックラムズでも一緒にプレーしましたが、今回一緒に飛行機に乗っているのは、週末のハイランダースvsブルースで敵味方に別れて戦うためです。

オールブラックスに初選出された直後に、日本行きを決めたエリソン。まさに「これから」のタイミングだっただけに、その決断には首を傾げる人も多くいました。一部には家族の借金など経済的な問題で追い込まれたとも言われていたエリソンが、ようやく夢の舞台に再挑戦の権利を得たところです。

日本での生活を振り返り、「子供たちを、祖父母から引き離してしまうのが最も辛かった。異国で孤立するというのは、ラグビーのこと以前に辛い問題だった」とも話します。3歳の息子と6ヶ月の娘のためにも、ニュージーランドへ帰ることは必然の決断でした。

「今でなければ、もう無い」と決断した帰国。当然、古巣ハリケーンズへ戻るつもりでいました。しかし、彼がプレーを望むアウトサイドセンターには、不動のコンラッド・スミスが。そこへ舞い込んだのが、ジェイミー・ジョセフからの誘いでした。

ハイランダースは「傾いていて、貧乏」と笑うエリソン。しかし「それほどデタラメじゃない」チーム運営とオタゴでのゆったりした生活スタイルは「性に合う」と話します。

一方、2009年に同じくオールブラックスデビューし、その後もニュージーランドでプレーを続けたものの、メンバーからは漏れ続けていたベン・スミス。目標にしていたワールドカップも、ギリギリで入ることは出来ませんでした。

「ニュージーランドには、多くの優れたアウトサイド・バックスがいる。そこに割って入るのは大変なんだ」と言う、ベン・スミス。

今回はフルバックとして招集されていますが、バックスならどこでも出来る自在性が売り。コーリー・ジェーンとリチャード・カフイの故障で穴のあいたウイングでの出場も、あるかもしれません。

「まずは、なんとか30人に入りたい。ギリギリの場所にいると思うけれど、全力を尽くして印象づけるよう挑戦するよ。」と意欲を燃やしています。

「後方からの判断力に磨きをかけなければいけない。プレッシャーをかけられた時に、あわててカウンターアタックばかり狙うのではなく、もっとコーナーにキックすることも考えないとね。」

現在、体育科の学生でもあるベン・スミス。今後のキャリアを考えてのことですが、今は選手として最高の舞台に立つことへ、全力を尽くします。

彼らが再び漆黒のジャージを着ることができるか、まずは週末のブルース戦で猛アピールしたいところです。

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マイケル・フーパー、スピアタックルにお咎め無し。レッズ戦にも出場可能。

ハリケーンズ戦で獅子奮迅の活躍を見せた20歳のマイケル・フーパー。しかしその素晴らしい働きの中で、ヴィクター・ヴィトへのタックルを巡り出場停止とするかどうかの審判にかけられていました。

審議会では試合後のイエローカードを出される判定だったため、数試合の出場停止は避けられないかと思われましたが、月曜日に行われたビデオを含めた聴聞会では「彼のタックルに問題は無かった」という判定が出されたようです。

元記事に、ルールと照らし合わせた脚の抑え方、持ち上げ方と、今回のケースの対比などが細かく表現されていますが、要するに「フーパーのタックルは標準的なもので、タックルされたヴィトのバランスの崩し方との兼ね合いで頭から落としたような格好になっただけ」という判断のようです(問題のタックル映像を含んだハリケーンズ戦の活躍)。

同じプレーに対して毎回同じ判断が下るのかは微妙な気もしますが、意図をもった悪質なプレーには見えなかったことは確か。ブランビーズは、プレーオフに向けた大事な試合でフーパーを失わずにすみました。

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スタッツで注目すべき、ディフェンスのポイントはどこに?

いつもながら、興味深くも一面的で実効性の乏しい、G&GRの考察。今回は「ディフェンス」について。この「データマイニング」な感じの手探り感が、また楽しいのですが。

最初に着目したのが、ミスタックルの割合。最も悪いウエスタンフォースが17.5%で、3位のブランビーズが14.5%。ほとんどのチームが3ポイントの間に収まっていますが、1チームだけ飛び抜けているのがストーマーズ。元記事の表現をそのまま使えば

彼らは本当に退屈堅牢だ

ということが分かります。

タックルミスについて、もう少し見てみましょう。クルセイダースをピックアップしてみると、意外にも彼らはフォースに続いて2番目にミスが多いチームです。では、それをエリアに分けて見ると、どうでしょう。

敵陣22m以内:2番目にミスが多い
ハーフウエイから敵陣22mの間:最もミスが多い
ハーフウエイから自陣22mの間:4番目にミスが多い
自陣22m以内:3番目にミスが少ない

クルセイダースがここまでに相手に許した1試合平均トライは、全体で6番目の少なさ。相手はフィールドを走り回ることは許されても、最後のトライは固く防がれています。これは、選手たちの集中力によるものか、あるいはディフェンスシステムがマネジメントされているのでしょうか。

別の興味深いサンプルは、ハイランダース。彼らもまた、許したトライは3番目の少なさながら、タックルミスは5番目の多さ。しかし、これはあくまで「割合」であることを忘れてはいけません。

ハイランダースは、ポセッションが非常に高く、そもそものタックル数が少なく抑えられています。「絶対数」で見ると、自陣22m以内でのハイランダースのミスタックルは2番目の少なさ。更にラインブレイクを許した数は最少です。

一方で、レベルスを見てみましょう。タックルミスのレートは平均を上回り3番目に良いグループです。カンファレンストップのブランビーズとほぼ同じ数値ですが、許したトライは倍近く。そして予想通り、自陣22m以内でのタックルミスは最多です。

これらのことから、ペナルティの検証同様に、エリアによるマネジメントが非常に重要であることが分かります(そして同様に、その理由を正確に読み解かなければ実際に活用することは出来ないのですが)。

今回は更に、従来のスタッツでは「ミスタックル」と「タックル成功」に分類されているものも、注意深く見れば異なってくるのではないか検証されています。

このグラフは、一番左の青い部分が1試合平均で相手に許したトライ数。やはりストーマーズが抜けて少ない数値になっています。赤い部分が、相手に許したオフロードパス。緑がラインブレイクを許した数です。

再びレベルスを見てみると、彼らはタックルをあまりミスしていないはずですが、オフロードされた数もラインブレイクを許した数も、2番目に多くなっています。G&GRでは、つまり「成功」とカウントされたタックルも、実際にはオフロードパスで繋がれるような「十分に機能した」タックルではないものが多く含まれているのではないかと推察しています。

もう1チーム、レッズを見てみましょう。彼らは、相手にオフロードされた数が抜けて多くなっています。これは、彼らの掲げる「低くあたるタックル」が一因にあるのではないかと推察されています。低く入るタックルというのは、とりあえずポイントをつくるのではなくオフロードでボールを繋いでいくタイプのチームには、ある意味「戦い易い」戦術なのではないかということです。

レッズの対戦相手別に見ると、チーフスから受けた1試合20のオフロードというのが最多。彼らの平均は1試合9.5と最多ですが、レッズが特にオフロードパスを出しやすい相手だったことが伺えます。チーフス戦の前に、ウィル・ゲニアは「SBWには、タックルを低くしてオフロードを全力で止めれば、対処できる」と話していました。しかし、それが機能したかどうかはスタッツが物語っているようです。

そして、レッズにとってチーフスの次に多く許したのが、ブランビーズの14(ただし、試合には勝利)。カンファレンストップ争いの相手であり、今週末に2度目の対戦を控えています。レッズがどういったディフェンスをして、どんな試合展開になるか、こういったポイントから注目してみるのも面白いのでは(残念ながら日本での放送はありませんが)。

日本代表も、「とにかく低く鋭くタックルすれば、大きい相手でも止められる」と信じてきた部分があるかと思います。それはもちろん正しいのでしょうが、世界のラグビーはそれだけを金科玉条と出来ないレベルに来ていることも、また事実なのかもしれません。

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「優勝請負人」ブラッド・ソーンに、また新たな勲章。

所属するチームで悉く栄冠を掴んできたブラッド・ソーンが、遂に欧州最高峰ハイネケン・カップの賜杯も手にしました。

現在サニックス・ブルースに所属するブラッド・ソーンですが、ハイネケンカップ準々決勝を前にレンスターへ短期移籍。レオ・カランやスティーブン・サイクスの抜けた第二列の不足を補うためでした。アイルランド・ダービーとなったこの日も、ソーンはフル出場でチームを支え、優勝に貢献しています。

ラグビーリーグでシニアラグビーのキャリアをスタートさせたソーンは、ブロンコスでグランドファイナルに3度勝利。ユニオンへ移籍した後はクルセイダースでスーパーラグビー優勝を重ね、オールブラックスではトライネイションズにも優勝。再びリーグに戻ってブロンコスで再度優勝し(ソーン不在の間は優勝無し)、その後ユニオンに戻ってからもクルセイダースで優勝。更に昨年はオールブラックスでワールドカップにも勝利しました。

そのワールドカップ優勝から、休むこと無くトップリーグでプレーし、シーズン終了後即座にハイネケンカップで優勝。まったく疲れを知らない37歳に、スーパーラグビーで戦った選手たちからも驚嘆と祝福の声が冗談交じりに寄せられています。

ベン・アティガ
「ブラッド・ソーンほど多くの賜杯を掲げた選手は、他にいない!彼こそは真のチャンピオンだ」 

マイク・ハリス
「確かブラッド・ソーンは高校では優勝していなかったはず。今からでも再入学して、優勝してこないと」

ボウ・ロビンソン
「ハイネケンカップ決勝のハイライト動画無い?ブラッド・ソーンを見たい!」

ドリュー・ミッチェル
「ブラッド・ソーンは、来年はチェルシーに移籍してEPLのチャンピオントロフィーを部屋に飾るつもりらしいぞ」

 ソーンは、来期もサニックスでプレーする予定。今期11位だった彼らですが、もしかするかも…という気に、なってくるでしょうか。

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ザック・ギルフォード、オールブラックストレーニンググループに追加招集。

故障離脱のりチャード・カフイと入れ替えで、ザック・ギルフォードが入ることになりました。

先週の試合で肩を傷めたカフイの後任を求めて、今週の試合は「二次試験」のような位置づけでした。ザック・ギルフォードは当初より後任の最有力候補でしたが、言動に問題の多いギルフォードよりホゼア・ギアを推す声も多く、数人の選手に対して「今週の試合を見て決める」と連絡があったようです。

自分はクルセイダース戦は観られなかったのですが、ハイランダース戦でホゼアの素晴らしい動きを見て「呼ばれるのは彼になるのでは」と思っていました。しかし結局今シーズンまだ1トライのホゼアよりも、今週の試合でもトライをあげたギルフォードに軍配があがったようです。発表の様子では、なんとなく浮かない顔をしたハンセンですが。

ところがこの後、コーリー・ジェーンの故障が長引きそうなものであることが正式に発表され、ウイングは更にもうひとりの招集が必要になりそうです。結局そこにはホゼアが入ることが有力ですが、日本への移籍が確定的な状況で他の若手を試す選択もあるでしょう。アンドレ・テイラーの抜擢などもあるかもしれません。

オールブラックスは、更にケヴィン・メアラムが故障した可能性も伝えられています。仮に休養が必要なようであれば、ヒカ・エリオットにチャンスが来るでしょうか。諸々含めて、近いうちに改めて発表があるものと思われます。

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コーリー・ジェーン、6週間の戦線離脱。カール・ロウも。

ブランビーズに競り負け、プレーオフ進出争いから大きく後退したハリケーンズ。更にコーリー・ジェーンとカール・ロウが故障で離脱することになってしまいました。

ジェーンは、足首の捻挫。4月にも足首を捻って欠場していますが、それとは逆の脚です。この日の検査で、復帰にはおよそ6週間かかると診断されました。

ロウは、試合のラストプレーで右膝の靭帯を傷めました。こちらも、4から6週間の欠場となります。

チームにとっては1ヶ月の休みが挟まることが僅かな救いですが、オールブラックスにとってはコーリー・ジェーンの離脱はショックでしょう。ウイングでは既にリチャード・カフイが故障で出場できず、ザック・ギルフォードを代わりに呼ぶことを発表したばかりです。またひとりウイングがいなくなってしまいました。大きな期待を集めるジュリアン・サヴェアにとっても、チームの先輩である心強いパートナーがいなくなることは残念でしょう。

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未だ決まらぬサザン・キングスの加入方法。南ア6チーム拡張案は遂に断念。

なんとも、お粗末な形で進んでいる南アフリカカンファレンスへのサザン・キングス受け入れ問題。この日、南アラグビー協会(SARU)と、スーパーラグビー運営母体であるSANZARの話し合いで、6チームへの拡張案は認められないことが最終的に確認されました。

ここで改めて、この問題を振り返ってみましょう。

元々は、2005年にイースタン・ケープのフランチャイズとして発足したサザン・スピアーズが、キングスの前身となっています。彼らは2007年からスーパーラグビー(当時スーパー14)入りすべく活動していましたが、様々に検討された結果、却下されています。公式には、フランチャイズの収益面での安定性が確立されていない点や、チームとしての実力がトップクラブレベルに至っていない点などが理由でした。結果、スピアーズはここで解散しています。

2009年、再びスーパーラグビー加入を目指してイースタン・ケープに設立されたのが、サザン・キングス。この年に南アフリカはブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズを迎えることになっており、その対戦相手のひとつが、彼らの初陣でした。かなり見切り発車での再スタートでしたが、これにあたってイースタン・プロヴィンスのチェーキー・ワトソンは「南イースタン・ケープの人々は、トップラグビーを渇望しているんだ」と熱い想いを語っています。

イースタン・ケープは、昔から黒人系住民の割合が非常に多いエリア。アパルトヘイト時代にはコーサ族が多く住む過激な民族闘争の舞台であり、「白人のスポーツ」たるラグビーを憎み続けてきた場所です。1995年のワールドカップ優勝による歴史的和解によりラグビーが国民全体に受け入れられてきた後も、やはりサッカーが盛んな「ラグビー空白地帯」として取り残されてきた感のある場所でした。

キングスに大きなチャンスが訪れたのは、2011年から「スーパーラグビー」に形を変えるタイミング。それまでの14チームから1チーム増えることが決まると、その座を狙って熱心な活動が続けられました。しかし、SANZARの出した結論は、オーストラリアに1チーム増やすこと。それまでのNZ5チーム、南ア5チーム、豪州4チームのバランスを考えれば、止むを得ないことだったのかもしれません。その時に発足したのが、メルボルン・レベルズでした。

南半球3カ国での全体運営を考えればキングスの落選が止むを得ないことだったとしても、南アフリカ国内では、それでは済まない状況がありました。白人主導主義によるラグビーからの黒人排除と見られないためにも、イースタン・ケープに2度目の挫折を味合わせたまま放置しておくわけにはいきません。SARUは、「既存の5チームにマイナスの影響を与えない上で」という条件付きで、「来シーズンからキングスをスーパーラグビーに受け入れる」という申し合わせをしてしまい、その上でキングスの活動を存続させました。

事実上「加入が確約された」キングスは、解散せずに活動を継続します。チーム力を高めるためにスーパーラグビーチームとの試合も行い、必ずしも相手がトップメンバーではない状態とはいえ、勝利をおさめることもしばしばでした。更に、チームはIRBネイションズカップにも参戦。この後ワールドカップにも出場したグルジア、ルーマニアなどを下して、優勝を飾りました。

一方のSARUは、キングスの受け入れに向けてSANZARとの話し合いを進めます。ところが、楽観的に考えていた南アフリカの6チーム拡張案は、真っ向から拒絶されます。スーパー14からスーパーラグビーに形態を変える際に、運営側はテレビ局や広告代理店と複雑な契約をかわしており、その中には「2015年末までは15チームによるフォーマットを守る」という規定が盛り込まれているというのが、直接的な理由でした。

困ったSARUは、現行5チームと共に対応を協議します。しかし、彼らは元々自分たちが痛みを伴うことを了承していたわけではなく「6チームに増やす以外の案は受け入れられない」という結論しか出せません。それをまたSANZARに拒否されるという堂々巡りが何度か繰り返され、今日まで宙ぶらりんの状況が続いて来ました。

今回のミーティングで、いよいよ「拡張案は絶対に受け入れられない」ことが確認されましたが、だからといってキングスに対して「ダメだったから解散、もしくはアテもなく赤字運営を続けてくれ」とは言えません。彼らに残された道は、恐らく「既存チームとの入れ替え」もしくは「既存チームの合併」しか無いでしょう。

入れ替えとなれば、最も合理的なのは「カンファレンス内で最下位チーム」の降格。現時点ではライオンズとなります。4位のチータースとは13ポイント差があり、逆転は厳しい状況。この案が通れば、彼らがスーパーラグビーから姿を消すことになるでしょう。しかし、降格となればフランチャイズを維持することは難しくなります。事実上、降格チームは解散となるでしょう。

ライオンズは、ヨハネスバーグを本拠地とする伝統あるチームです。前身であるキャッツはスーパー12発足時から参戦しており、2000年、01年にはプレーオフ進出も果たしました。この10年は低迷が続いているとはいえ、今年はカリーカップ優勝を果たして「長いトンネルに出口が見えてきた」ようなところ。何より、彼らが本拠地としているエリスパークは、あの95年ワールドカップ決勝戦で、ネルソン・マンデラとフランソワ・ピナールが握手を交わした「民族融和の象徴」とも言える場所です。あの場所がトップラグビーから姿を消す契機が、黒人エリアのラグビー振興のためだとすれば、なんとも皮肉な話になってしまいます。

合併案であれば、やはり最有力なのはチータースとライオンズの合併。元々、キャッツ時代には実質的に1つのチームだったのが、スーパー12から14になる際に分裂したようなものですし、それ以降も常に下位に低迷している両チームです。降格よりは合理的な案であるように見えますが、コストの増加による収益の減少はチーム運営をかなり苦しくすることが見えています。

「非常に複雑な問題で、簡単に答えは出ない」と話すSARUですが、このまま堂々巡りを続ける時間は残されていないのも確か。大きな決断を求められる時が近づいています。

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